廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「まぁそれに、早めに帰って貰わないと、私の身が持たないので好都合だったのだ」

「は?それ、どういうことです?」

聞き返すと、ダリオンは大きくため息をつき肩を落とした。

「お婆様はやたらとイライラして八つ当たりしてくるし、ローリーは調味料を間違えまくる。そのせいで毎日食事をするのが命懸けだ。ミレイユは屋敷じゅうの布という布に薄気味悪い刺繍を始め……このままではエスカーダ邸は恐怖の館になるだろう」

「ま、まぁ……なんでそんなことに?」

「お前がいなくてつまらないからだと思うぞ。もう、エスカーダ家にルキアはなくてはならない存在なのだ」

「なくてはならない存在……」

あまりにも嬉しいことを言われ、恥ずかしくなっていると、ダリオンがいきなり兜を脱いだ。
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