廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「幸い、エスカーダ家に聡明な子がやって来てくれました。これは吉兆だと思うの。だからこの機を逃さず、ルキアにエスカーダ家に入って貰うことにしたわ」

「まぁぁ!それは妙案ですわ!」

間髪入れず叫んだのはローリーだ。
エレナもミレイユも顔を見合わせて頷いている。
その光景をみて、私の方が嬉しくなった。
だって、私なんて養女にしても、エスカーダ公爵家にはなんの得もない。
むしろ火種になりかねない。
ダリオンだって嫌がるかも。
そう考えると、おばあ様に望まれても、ちょっとだけ不安だったのだ。
だけど、少なくともメイドたちは好意的だ。

「良かったわ。皆、賛成ね」

おばあ様は、微笑みながら私のほうを向き、そして、エレナたちに言った。

「そこで、皆にお願いがあるの。王都から離れていた間の政治情勢や派閥の変わり様が、私にはまるでわからない。皆には当分情報収集に奔走して貰わねばならないわ」

「お任せ下さいませ!」

元気に叫ぶと、三人は一列に並び、きっちり同じ角度で頭を下げた。
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