廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
第二章
1、不機嫌な大英雄(ダリオンside)
レグナント国、王都ルミナリエスの中心部、行政区ロダン。
ここにはレグナント各地から行政に関わる貴族達が集まり、居を構えている。
大半が大貴族で、皆地方に領地はあるが、ロダンに別邸を建て仕事をしているのだ。
勿論、我がエスカーダの屋敷もそうである。
しかし、他の貴族とは違う所がひとつあった。
それは、王家所縁のものが身内にいるため、王宮に近い土地を与えられていたことだ。
軍部詰所にも近く、一日のほとんどを軍部で過ごす私にとってはかなり良い立地である。
そんなエスカーダ邸執務室で、早朝から溜まった仕事を片付けていると、ドタドタと忙しない足音が近づいて来た。
やがて足音の主は扉の前に止まり、ノックもそこそこに叫びながら入ってきた。
「閣下!いつになったら、結婚するんです!?」
補佐官ランスロット・グレジッドは開口一番叫んだ。
これは、彼の挨拶のようなものだ。
全く、毎日毎日、飽きもせず言ってくるなと感心する。
「おはよう。ランス。お茶は?」
「はいっ!どうぞっ!」
彼は手にしたティーセットをガチャンと机に置き、私の前で不快を顕にした。
ランスロット・グレジッドは、エスカーダ公爵家の親戚、グレジッド伯爵家の三男で、軍部で私の補佐官をしている男だ。
ついでに住み込みで、身の回りのこまごまとしたこともやって貰っている。
その理由は、屋敷に一人しかいないのに、使用人を雇うのが面倒臭いのと、見知らぬ他人と住むなんてまっぴらだからだ。
「もういい加減、誰か雇って下さいよ!」
「間に合っている」
「そう思ってるのは貴方だけですよっ!僕は軍部の補佐官であって、閣下のメイドじゃないんです!ああ、もう!これだから変な噂が立つんです」
「噂?何だそれは」
顔を真っ赤にして憤慨するランスロットに問うた。
レグナント国、王都ルミナリエスの中心部、行政区ロダン。
ここにはレグナント各地から行政に関わる貴族達が集まり、居を構えている。
大半が大貴族で、皆地方に領地はあるが、ロダンに別邸を建て仕事をしているのだ。
勿論、我がエスカーダの屋敷もそうである。
しかし、他の貴族とは違う所がひとつあった。
それは、王家所縁のものが身内にいるため、王宮に近い土地を与えられていたことだ。
軍部詰所にも近く、一日のほとんどを軍部で過ごす私にとってはかなり良い立地である。
そんなエスカーダ邸執務室で、早朝から溜まった仕事を片付けていると、ドタドタと忙しない足音が近づいて来た。
やがて足音の主は扉の前に止まり、ノックもそこそこに叫びながら入ってきた。
「閣下!いつになったら、結婚するんです!?」
補佐官ランスロット・グレジッドは開口一番叫んだ。
これは、彼の挨拶のようなものだ。
全く、毎日毎日、飽きもせず言ってくるなと感心する。
「おはよう。ランス。お茶は?」
「はいっ!どうぞっ!」
彼は手にしたティーセットをガチャンと机に置き、私の前で不快を顕にした。
ランスロット・グレジッドは、エスカーダ公爵家の親戚、グレジッド伯爵家の三男で、軍部で私の補佐官をしている男だ。
ついでに住み込みで、身の回りのこまごまとしたこともやって貰っている。
その理由は、屋敷に一人しかいないのに、使用人を雇うのが面倒臭いのと、見知らぬ他人と住むなんてまっぴらだからだ。
「もういい加減、誰か雇って下さいよ!」
「間に合っている」
「そう思ってるのは貴方だけですよっ!僕は軍部の補佐官であって、閣下のメイドじゃないんです!ああ、もう!これだから変な噂が立つんです」
「噂?何だそれは」
顔を真っ赤にして憤慨するランスロットに問うた。