廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
手紙の内容はごく普通なものだった。
目の診察を受けに、王都にやって来る。ついては、このロダンのエスカーダ邸に使用人共々滞在したい……と言うものだ。
恐れていた王女の失態ではなくて良かったと思う反面、あれほど頑なに外に出ようとしなかったお婆様の心境の変化がとても気になる。
目の診察にも消極的であったのにどうして……。
いや、ここはお婆様の気力が回復したことを素直に喜ぶべきだろう。
「何て書いてあったんです?」
ランスロットが能天気に聞いてきた。
「お婆様が王都に来るそうだ」
「へ?何年も領地に引きこもったままだったあのカトレア様が!?……何があったんですか?」
「それは……書いていないが。目の診察に来るということだ」
「ああ!それで、イエーレン先生からも手紙が来ているんですね!」
ランスロットは机に置かれたもう一通の手紙を持ち上げ、ヒラヒラと振った。
すっかり存在を忘れていたが、イエーレン先生の手紙もあったのだったな。
中を確かめてみると、内容は診察の日取りの細かい打ち合わせだった。
どちらの手紙にも不審な点は一切ない。
だが、どうも裏で何かが進行しているような妙な胸騒ぎがした。
気のせいならいいが「レグナントの高貴なる華」と呼ばれていた頃のお婆様は、底知れない狡猾さを持っていたからな。
一応、警戒はしておくか。
目の診察を受けに、王都にやって来る。ついては、このロダンのエスカーダ邸に使用人共々滞在したい……と言うものだ。
恐れていた王女の失態ではなくて良かったと思う反面、あれほど頑なに外に出ようとしなかったお婆様の心境の変化がとても気になる。
目の診察にも消極的であったのにどうして……。
いや、ここはお婆様の気力が回復したことを素直に喜ぶべきだろう。
「何て書いてあったんです?」
ランスロットが能天気に聞いてきた。
「お婆様が王都に来るそうだ」
「へ?何年も領地に引きこもったままだったあのカトレア様が!?……何があったんですか?」
「それは……書いていないが。目の診察に来るということだ」
「ああ!それで、イエーレン先生からも手紙が来ているんですね!」
ランスロットは机に置かれたもう一通の手紙を持ち上げ、ヒラヒラと振った。
すっかり存在を忘れていたが、イエーレン先生の手紙もあったのだったな。
中を確かめてみると、内容は診察の日取りの細かい打ち合わせだった。
どちらの手紙にも不審な点は一切ない。
だが、どうも裏で何かが進行しているような妙な胸騒ぎがした。
気のせいならいいが「レグナントの高貴なる華」と呼ばれていた頃のお婆様は、底知れない狡猾さを持っていたからな。
一応、警戒はしておくか。