廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
2、王都へと

辺境エスカーダ邸では、王都へと行く準備が着々と進んでいる。
セルジュとメイドたちが身の回りの物を揃えている間、私はおばあ様の勧めで、レグナントについて勉強することになった。
国の成り立ちや、王族の歴史。
その他、レグナントに住む上で必要なことを学んだ。
そのお返し……といっては変だけど、私からは前世で演じたお芝居を披露した。
古典的な物語や、ラブコメにサスペンス。
それを面白おかしく演じると、おばあ様はとても喜んでくれた。

そうこうする内に、出発の日はやって来た。
王都ルミナリエスへはゆっくり行って馬車で二日。
おばあ様が疲れないように、間で宿を取る予定である。

「それではお気をつけて。後のことはお任せを」

馬車の前でセルジュが言った。
彼は本宅でお留守番、同行はメイドたちだけだ。

「頼むわ、セルジュ」

労ったおばあ様が乗り込むと、その隣に私が座り、前の座席にエレナたちが座った。
エスカーダ家の馬車はとても大きく、中も緑のビロードが張られていて高級感が漂う。
フェルナンシアから来た時の馬車とは比べ物にならない程の広さで、五人乗っても余裕である。
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