廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
中間地点の小都市シーガルで宿を取り、次の日朝一番で出発する。
本当はシーガルでもう少しゆっくりする予定だったのだけど、おばあ様の鶴の一声で、早めに向かうことになったのだ。
きっと、早く王都へ行きイエーレン先生に会いたいのだと思う。
そんな訳で、慌ただしく出立した私たちは、その日の午後過ぎには王都ルミナリエス、行政区ロダンへ到着した。

「わぁ……固そうですね」

私の第一声にみんなが笑った。
おばあ様との勉強会で、ロダンの構造については知っていたつもりだった。
でも、突然目の前に現れた堅固な城郭都市は想像を遥かに越えた迫力だったのである。

「そうね。ここは全てが石造りで、守備に特化した建造になっているわ。なかなか王宮に辿りつけないように迷路みたいになっているのも特徴ね」

おばあ様は上品に説明を付け加えた。

「はい。教えてもらった通りです。ええと、行政区には王宮に出仕する貴族達が住んでいるのですよね?その行政区の周りがルミナリエスの商業区になっていて経済の中心……」

「その通り。行政と商業を区分けすることにより、強固な王政を敷いているのです」

「身分制度を明確にして、ですね」

そう返すと、おばあ様は満足したように頷いた。
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