廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「ダリオン様は子どもが嫌いだと仰っていました。見られるのも嫌そうでしたけど、人嫌いが原因でしょうか?」

「ええ。まぁ……私のせいかもしれないわ」

おばあ様は深く深くため息をついた。
どういうことなのかを尋ねてもいいのかな?
私は控えているエレナを見た。
すると、彼女は口を真一文字に結び、ゆっくりと横に顔を振る。
……聞いてはダメ、ということね。
部屋の空気が微妙になったところで、勢い良く扉が開いた。

「お婆様、遠路はるばるようこそ」

ダリオンは、入るなり無表情でおばあ様に挨拶した。
しかし、隣に座る私に視線を向けると「ん?」と片眉を上げた。

「久しぶりね、ダリオン。手紙にも書いたけど、私たち暫くここに滞在するから、そのつもりでね」

「はい。それは構いませんが……何故この娘を連れてきたのですか?」

ダリオンの瞳が私を捉えた。
嫌悪感が見えるけど、そんなこと全然気にならない!
だって、今……彼の青い瞳の中には私が映っているんだもの!
踊り出しそうな気持ちを精一杯抑え、唇を噛みしめググッと拳を握った。
そうしなければ、本当に踊ってしまいそうだったからだ。
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