廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「あのですね……私が実家の店で聞いてきた話なんですけど。実はルミナリエス療養所で……」

「えっ?療養所がどうかしたの?」

私は焦ってローリーに尋ねた。
知り合いばかりの場所だから、何かが起こったのなら気になる。
悪いことじゃないといいけど……。

「ルキア様、大丈夫ですよ。悪い話じゃないんです」

「そ、そう……良かった。それで、何があったの?」

「実は、原因不明の病で入院していた患者さんたちが、次々と回復しているらしいのです」

「次々と?」

私が聞いたのは、レストンさんの退院が決まったことだけだ。
その他の患者さんが回復したという話は知らない。
奇跡が広がればいいと考えたけれど、次々と回復するなんて信じ難い話だ。

「まるで奇跡のようだと、商業区では大変な噂になってますわ!」

「でもそんなこと実際に……」

言いかけた私に、おばあ様が飄々と言った。

「良いことじゃないの。病気が治ったんなら」

「そ、それは、そうですけど」

「ねぇ!それよりも、そろそろお芝居を見に行きましょう。ルキアも見たいでしょう?」
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