廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「本当にいい機会だわ。ルキアをダリオンの婚約者として紹介する絶好の場所ね」

「えっ!?」

思わず叫んでしまった。
心積もりは出来ていたはずだけど、いきなりすぎて感情がついていかない。
それに、当のダリオンに距離を置かれている現在、諸手を挙げて喜んでいられないのだ。

「えっ……て。ルキア、もっと気楽に考えなさいな。婚約者になったからって、今すぐ何かが変わるわけではないですからね?」

「はぁ……はい」

そ、それはそうですけど。
婚約者になったからって、七歳のお子ちゃまに、ダリオンが迫るなんて考えられない。
だいたい子ども嫌いなんだから。
……って、そんなことを心配しているわけじゃないんです!

「で、でも、おばあ様。ダリオン様は納得してないのでは?」

最初の日のような、龍虎の戦いが再現されると思うとキリキリと胃が痛む。
なんとか穏便に事が運ぶようにして欲しいのだけど、あの二人の間に仲裁に入るのは絶対に無理。

「ああ、大丈夫。話はついているから」

「……ん、んん?どういうことでしょうか」

……待って下さい、急展開なんですが。
この急展開についていけない私のために、納得のいく説明をよろしくお願いします!
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