廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「ベルナード国王陛下にご相談したのよ。あなたとダリオンの婚約の件をね?」

おばあ様は手紙を机に置くと、また優雅にお茶を一口含んだ。
その何食わぬ顔には、勝者の笑みが浮かんでいる!

「もしかして……おばあ様……それは裏工作……」

「うふふ。私、使えるものはなんでも使う主義なの」

オホホホーと高笑いの響く室内で、崇拝するようにおばあ様を見るローリーとミレイユ。
その中で、私だけが震え上がっていた。
おばあ様は、元王家の特権という最大限の力を使って、自分の我を通したのだ。
……怖い。怖すぎる。
果たしてこの国で彼女に敵うものがいるのかどうか……。
「レグナントの高貴なる華」その実態は、もしかするとカリスマ持ちの怪物なのでは?

「これでダリオンも逃げられないわ。邸内で顔を会わせないように逃げ回っていたようだけれど、陛下主催の晩餐会に顔を出さないわけにはいきませんからね」

「で、ですが、ダリオン様が納得していないのに、本当にいいのでしょうか?」

厄介者の元王女で、大嫌いな子ども。
そんな者を婚約者として据えられるなんて、すごく嫌なはずだ。
ダリオンの人生を曲げてしまったようで、なんだか申し訳なくなる。
そんな、煮え切らない態度の私に、おばあ様はきっぱりと言った。
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