あなたを愛しています
でも今日は、パートはお休み。独身時代の友人は、今頃みんな仕事で忙しくしてる時間だし、子無しの私は、近所のママさんたちのコミュニティには、当然入れない。


今更ながら、私のような年代の「子無し専業主婦」は、いかに絶滅危惧種となっているかを、実感する。かくして私は1人、家でもやもやした時間を過ごすしかない。あ~あ、なんでこんな日に、あんなつまらないことで、ケンカなんかしちゃったんだろう・・・。


残り物でお昼を済ませたあと、私はスマホを手にする。この時間、誰からも連絡なんて来る当ても、また連絡する相手もないんだけど、ひょっとしたら学から「ゴメンねLINE」が入ってないかな、なんて・・・。


でも、そんなことは全くなくて、私は思わずため息。


実は私、携帯をスマホにしたのは、そんな古い話じゃない。2年くらい前だったろうか。


それまでは学生時代から持っている年代物のガラケーを後生大事に使っていた。それには理由があったんだけど、周りの友人たちには呆れられていた。


そんなある日、私が夕飯の準備をしていると、仕事から帰って、お風呂に入っていたはずの学が、血相を変えて、キッチンに来ると


「瞳、これどういうことだよ!」


いきなり大声を出した。びっくりして振り返ると、学の手には私の携帯が。


「随分、親し気にやり取りしてるじゃないか?」


問い詰めて来る彼に、呆気に取られていると


「どこのどいつなんだ!」


と言って、携帯を突き付けて来るから、私は受け取って画面を見た。


「まさか瞳が、こんなことする女だとは思わなかった!」


興奮する学の横で、しかし私は思わず吹き出していた。


「何がおかしいんだ!」


「だって・・・自分が送ってきたメール、忘れちゃったのかと思って。」


「へっ?」


「見覚えない?そのメアド。」


そう言って、学に携帯を渡す。改めて、画面を見た彼は固まってしまい・・・やがて


「すまん!」


とテーブルに頭をぶつけんばかりに謝って来た。


「わかってくれたんならいいよ。さ、ご飯食べよう。」


平身低頭といった風情の学に、私は笑顔で言った。
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