堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
第一章:婚約編
1.押し倒されました
これはどこからどう見ても押し倒されている。誰がどう見ても。しかも、目の前の人物がこんなにお見目麗しく、堅苦しくて男前な騎士様。この場合、押し倒された側が女性であったのであれば、嬉しい悲鳴をあげてしまうかもしれない。
まあ、そんな自分も生物学的上は女性であるが。
だが今は、男性用のタキシードを着て、少し身長も誤魔化して、出ているとこは全部引っ込めて、女性であることを隠していた。
「この手をどけていただきたいのですが」
押し倒されている側の女性、エレオノーラが冷静に言葉を放った。彼女が言うこの手とは、自分の右胸にのっているその騎士様の左手。しかもその騎士様、どけて欲しいと言ったにも関わらず、その左手をもみもみと動かした。そう、動かしたのだ。
その挙句。
「君は、女性か?」とまで確認をしてきた。
エレオノーラは目の前の騎士様から目を反らすことなく、しっかりと見据えている。この押し倒されたであろう現状にも関わらず。
「生物学的上は、それに分類されますが。ですが、今の私に性別は関係ありません。申し訳ありませんが、この後も仕事があるため、この手をどかしていただけると大変助かります」
彼女は極めて冷静に言った。そう、いたって冷静に。
まあ、そんな自分も生物学的上は女性であるが。
だが今は、男性用のタキシードを着て、少し身長も誤魔化して、出ているとこは全部引っ込めて、女性であることを隠していた。
「この手をどけていただきたいのですが」
押し倒されている側の女性、エレオノーラが冷静に言葉を放った。彼女が言うこの手とは、自分の右胸にのっているその騎士様の左手。しかもその騎士様、どけて欲しいと言ったにも関わらず、その左手をもみもみと動かした。そう、動かしたのだ。
その挙句。
「君は、女性か?」とまで確認をしてきた。
エレオノーラは目の前の騎士様から目を反らすことなく、しっかりと見据えている。この押し倒されたであろう現状にも関わらず。
「生物学的上は、それに分類されますが。ですが、今の私に性別は関係ありません。申し訳ありませんが、この後も仕事があるため、この手をどかしていただけると大変助かります」
彼女は極めて冷静に言った。そう、いたって冷静に。
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