堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「その。隣に座ってもいいだろうか?」

「はい?」
 と思わず語尾を強めてしまった。何を言われているのか、ちょっと頭がついていかない。

「行きと同じように、あなたの隣に座りたい」
 まさかジルベルトからそんな言葉が出るとは思ってもいなかった。

「では、私が団長の隣に行きます」

 ジルベルトを移動させるのは申し訳ないと思い、エレオノーラはすっと立ち上がって、ジルベルトの隣に座り直した。

「これでよろしいでしょうか、リガウン団長」
 隣のジルベルトを見上げた。

「その呼び方も」

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