堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「リガウン団長が兄に連絡をとりたいということは、妹のことで何かしらあると思ってもよろしいでしょうか。さしずめ、建国記念パーティの件かと」
 ドミニクが少し苦笑した。それはジルベルトの心境を悟ったのか、妹のことを案じているのか。

「その通りだ。さすが広報部だな」

「第一のみなさまは、警備に駆り出されるのでしょうね。しかし、リガウン団長はどうやらそうではないらしい」
 それはジルベルトが兄のダニエルと連絡を取りたい、と言ったことから推測したこと。

「その通りだ」

「となると、妹も」
 やはり、エレオノーラも絡んでくるのかと思った。

「まあ、そういうことだ。陛下直々、招待状を送りつけてきやがった」

 少しくだけた口調に、ドミニクも口の端を緩めた。ジルベルトがそこまでその招待状を憎々しく思っていることが伝わったからだ。

「では、時間が決まりましたら連絡いたします。こういった関係者との食事等のセッティングも我々広報部の仕事ですから、遠慮なさらずにご用命ください」
 ドミニクも広報部仕様で答えた。

「ああ、助かる」

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