堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「政治的なつながりの方が、まだ事務的に処理できるからよかったのだが。どうも、向こうは個人的なつながりを求めてきているから、それが非常に面倒だ」
 瞬間的にジルベルトの表情が崩れたのをダニエルは見逃さなかった。それが国王夫妻とジルベルトの関係を物語っているのだろう。本当にこのような人物にあの妹を嫁がせて大丈夫なのか、という違う不安も生まれてくるダニエル。

「それで、今日はどういったご用件でしょうか」

「その、個人的なつながりにまた巻き込んでしまった、ということだ」
 ジルベルトはそっと招待状をテーブルの上に置いた。
「これは?」
 そのテーブルの上に置かれた招待状をじっと見据えるダニエル。

「陛下直々の招待状」

「私が見ても?」

 問題ない、とジルベルトは答える。
 ダニエルはテーブルの上に置いてあるそれを手に取り、ゆっくりと封を開ける。彼がそれを見ている間、ジルベルトは事務的にフォークを口元まで運んでいた。

< 120 / 528 >

この作品をシェア

pagetop