堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
 コツン。

 おでこがぶつかった。思っていたものと違う衝撃。

「ふふふ、あははは」

 いきなりジルベルトが声をあげて笑い出す。

「どうかされましたか? ジル様」

 目を開けたエレオノーラが尋ねると、いきなり彼女の眉間を、ジルベルトはその人差し指でぐりぐりと衝いてきた。

「な、何をなさるんですか」
 人差し指でぐいぐいと衝かれた眉間をさすりながら、エレオノーラは驚きの声をあげた。

「そんなに難しい顔をしなくてもいい。だから、いつも言っているだろう? あなたはあなたのままでいい、と」

< 129 / 528 >

この作品をシェア

pagetop