堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます

20.パーティに参加しました

「ジルベルト様よね」

「あれは、リガウン侯爵家のジルベルトか?」

「珍しいな。今日は警備担当ではないのか?」

「一緒にいるのはどこのご令嬢だ?」

 ジルベルトの腕に自分の腕を絡ませて、入口から会場へと踏み入れると、そんな声がエレオノーラの耳に届いてくる。ジルベルトの婚約者、という仮面をつけているにも関わらず、エレオノーラはより一層絡めている腕に力をいれてしまった。それだけ緊張してしまう。
 ジルベルトも彼女のそれに気付いたのだろう。彼女の顔を見て、優しい笑みを浮かべていた。

「あの堅物が笑っているぞ」

「あら、でもお似合いよね」

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