堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「いやいや、そういう堅苦しい挨拶は抜きだ。あれからは話を聞いていたからな。あきらめていた孫に望みが出てきた、と。屋敷に遊びに行ったときに泣いて喜んでいたぞ? それで、そちらのお嬢さんが?」

「はい」
 ジルベルトに促され、エレオノーラは挨拶をする。
「エレオノーラ・フランシアです」

「ほほう。話しには聞いていたが、本当にジルベルトとお似合いだな。あれが喜ぶ理由もよくわかった。よかったな、ジルベルト」
 エガートン侯爵はジルベルトの肩を小突いた。もちろんその顔は喜びに溢れている。

「そう言っていただけて、光栄です」
 エレオノーラは上品に笑んだ。その笑みに、エガートン侯爵も満足に微笑み返した。

「では、また後ほど」
 言うと、彼はまた別な人物に声をかけていた。
 どうやら、ジルベルトと違ってとても社交的な人柄のようだ。

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