堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「任務で?」

「はい」

「任務以外では?」

「今日が初めてです」

「そうか」

 その答えを聞いたジルベルトはなぜか嬉しそうだった。
 曲が途切れたところで、その輪から抜けた。ジルベルトは本当に一曲で終わらせるつもりだ。エレオノーラとしては踊り足りない気もしないでもないのだが。そもそも初めての場であるため、どのくらい踊るのが正しいのかもよくわからない。

 ジルベルトが彼女の手を引いて歩くと、何かしら視線が絡みついてくる。

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