堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「陛下たるもの。近隣諸国の言語など、使えて当然ですよね」

「日常的な会話はできるが。深い話は無理だ」
 と、できないことを堂々と答える国王。

「自信満々に無理だ、とおっしゃられても」

「ジル様」
 ジルベルトの腕に絡みついていたエレオノーラがひょっこりと顔を出して声を発した。
「私なら大丈夫ですよ」

 エレオノーラが大丈夫であってもジルベルトが大丈夫ではない。
 ジルベルトは深いため息をつくと共に首を振った。

「私も同行していいだろうか」
 エレオノーラを一人にはできない。いや、させたくない。だから、ジルベルトも彼女の側にいたい、ということだ。

「それは問題ない」
 なぜか満足そうに笑っている国王。

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