堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
 エレオノーラは国王の後ろをジルベルトと並んでついていくことにした。案内された先には、近隣諸国の偉い人がたくさん集まっていた。そこにくわえて、この国の偉い人たちも。

「エレオノーラ嬢、こちらへ」
 促され、一人の年配の女性の前に立たされた。ジルベルトは少し離れた場所から、その様子をうかがっている。エレオノーラは背中に変なオーラを感じた。思わず苦笑を浮かべたくなる。我慢。

「ファニタ王妃、彼女です」

 ファニタ王妃、名前は聞いたことがある。確か隣国のアークエット国の王妃。

「ファニタ王妃は、エレオノーラ嬢が書いてくれた招待状を非常に気に入ってくれてね。それで、どうしても会いたいとおっしゃってくれた」
 国王がエレオノーラに向かって説明した。

 それを聞いたエレオノーラ。
 会いたいってどういうこと? 通訳が足りない、とかそんな話ではなかったのか? と思いながらも、促されて挨拶をした。
 もちろんアークエットの言葉で。その言葉に、ファニタ王妃はまたまた喜んでくれたようだ。

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