堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「あらあら、とんだお嬢様ね」
 マリーは楽しそうに笑みを浮かべている。そう、手に入れた情報が事実であるならば、情報屋としてのマリーの評判も上がるし、何よりも、これから彼と共にこなす仕事がやりやすくなる。

「ああ、あれならやりやすいな。こちらに抵抗するような力も無いだろう」
 どうやら、彼もマリーと同じことを考えていたらしい。

「あら。抵抗すればやっちゃえばいいのよ?」
 唇からグラスを離さずに、マリーは答えた。

「何を?」

「あなたの得意な、気持ちよくなれるお薬。やっちゃえばいいんじゃない? そしたら彼女はこちらの言いなりよね?」

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