堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
 不審がるマリーの目。アンディのその指をとらえている。

「そろそろ俺の女にならないか」

「まあ」
 彼女が目を見開いた。アンディがアプローチをしていたことなど、とっくの昔から気付いていただろうに。

 だけどマリーも負けてはいない。そこで上品に、そして艶やかに笑む。
「そうね。そろそろそれも悪くはないかもしれないわね」
 マリーは首を傾け、隣に座っているアンディの肩にその頭を預けた。
 アンディは肩にぐっと重みを感じた。それも悪くはない。

「刺激のある生活を約束してくれるのかしら?」
 マリーは上目遣いにアンディを見つめた。アンディは彼女を見下ろす。二人、視線が絡み合う。

「もちろん」
 彼はマリーの腰に手を回した。細い腰。力を入れたら折れそうなくらい細い。この腰も他の誰にも触れさせたくない。

「約束するよ」
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