堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「私が聞いているのはそういうことではないのだが」
ジルベルトが期待していたものとは違う答えが返ってきてしまった。
「ええ、知っています。ですからわざとです」
どうやら、エレオノーラは少し怒っているようだ。まったくもって、ジルベルトには心当たりが無い。だから、彼女がなぜ怒っているのかさっぱり理由がわからない。理由がわからないまま、マックスがゆっくりと動き出した。
馬のマックスはカッポカッポとゆっくりと歩いている。走るというよりは、歩くという表現の方が適しているくらいに、ポッカポッカと。
目の前に建物等は無い。左手に広がる木々と、右手に広がる草原。日差しは穏やかであり、木々たちがそれを遮ってくれている。そして青い空とところどころ浮かんでいる白いふわふわの雲。日々の喧騒を忘れてしまうようだ、というのはこういうことを言うのだろう。
馬での遠乗りは、まさしく騎士団としての仕事を忘れさせてくれるような穏やかさを与えてくれた。それと同時に、あの国王からの度重なる嫌がらせも。
だけど、エレオノーラが怒っているというその事実は消してくれなかった。怒っているようだけれど、不機嫌ではない、というのが彼女の背中から伝わってくる。むしろ、喜んでくれている、ということも。
ジルベルトが期待していたものとは違う答えが返ってきてしまった。
「ええ、知っています。ですからわざとです」
どうやら、エレオノーラは少し怒っているようだ。まったくもって、ジルベルトには心当たりが無い。だから、彼女がなぜ怒っているのかさっぱり理由がわからない。理由がわからないまま、マックスがゆっくりと動き出した。
馬のマックスはカッポカッポとゆっくりと歩いている。走るというよりは、歩くという表現の方が適しているくらいに、ポッカポッカと。
目の前に建物等は無い。左手に広がる木々と、右手に広がる草原。日差しは穏やかであり、木々たちがそれを遮ってくれている。そして青い空とところどころ浮かんでいる白いふわふわの雲。日々の喧騒を忘れてしまうようだ、というのはこういうことを言うのだろう。
馬での遠乗りは、まさしく騎士団としての仕事を忘れさせてくれるような穏やかさを与えてくれた。それと同時に、あの国王からの度重なる嫌がらせも。
だけど、エレオノーラが怒っているというその事実は消してくれなかった。怒っているようだけれど、不機嫌ではない、というのが彼女の背中から伝わってくる。むしろ、喜んでくれている、ということも。