堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
 マリーが上目遣いにアンディを見つめた。
 そうだな、と彼は頷いた。

「ねえ、アンディ?」
 マリーは首を傾けて、その頭を彼の肩の上に乗せた。
「私があなたのものになったら、刺激のある生活を約束してくれるのよね?」
 そのまま彼女は彼を見上げた。

「ああ、もちろんだ」

「そう」
 マリーは呟くと、その肩から頭を離した。グラスを手にしている右手の肘を左手で押さえ、何やら考えている様子。そのままグラスに口をつけ、一口、オレンジを含む。そしてゆっくりと、グラスをテーブルの上に置くと。

「あなたがあの堅物をやった日には、あなたの女になってあげるわ」
 マリーは右手の人差し指でくるくると宙に円を描いた後、それをアンディの口元に当てた。アンディは舌を出して、その指をペロリと舐めた。
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