堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「お前たちの狙いは何だ?」
 ジルベルトの低い声。

「あら? お前たち、ですって?」
 今、この場にいるのはマリーと人質の彼女の二人だけであるはずなのに。

「ここにいるのがお前一人だけではないことくらい、気付いている。彼女をさらったのは別な人間だろう。むしろお前一人だけでは、彼女をさらうことはできない」

「まあ。気付いていたのね」
 ふふ、っとマリーは艶やかに笑んだ。
「気付かれているみたいよ、アンディ」
 マリーはゆっくりと背後を振り返る。

「やっぱり、黒幕の登場はもったいつけないといけないと、だろう?」
 アンディがゆっくりと姿を現すと、マリーの腰を抱いた。

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