堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
28.本気を出します
「やめろ」
ジルベルトが彼女に駆け寄ろうとしたが、男が数人やってきてジルベルトとダニエルの身体を拘束した。恐らくグリフィン公爵の部下と思われる男たち。
「やめてくれ」
ジルベルトの叫びともつかないような声が、むなしく響く。
マリーはその注射針を、拘束している彼女の右肩に刺した。刺された彼女の目が大きく見開いたかと思うと、彼女のその身体は力を失ったかのように崩れた。それをアンディが支えている。
中身が空になった注射器をマリーは放り投げた。それは宙に放物線を描いて落ち、カランと乾いた音を立てた。
「彼女に何をした」
体を押さえつけられながらもジルベルトの目はギラリと怒りで溢れている。低く響く声。腹の底にまで響くその声。
「ちょーっと、気持ちよくなれるお薬を打ったのよ。でも、気を失ってしまったみたいね。目を覚ますのが楽しみだわ」
マリーは、うふふ、と笑いながらアンディの腕の中にいる彼女の頭を優しく撫でた。
ジルベルトが彼女に駆け寄ろうとしたが、男が数人やってきてジルベルトとダニエルの身体を拘束した。恐らくグリフィン公爵の部下と思われる男たち。
「やめてくれ」
ジルベルトの叫びともつかないような声が、むなしく響く。
マリーはその注射針を、拘束している彼女の右肩に刺した。刺された彼女の目が大きく見開いたかと思うと、彼女のその身体は力を失ったかのように崩れた。それをアンディが支えている。
中身が空になった注射器をマリーは放り投げた。それは宙に放物線を描いて落ち、カランと乾いた音を立てた。
「彼女に何をした」
体を押さえつけられながらもジルベルトの目はギラリと怒りで溢れている。低く響く声。腹の底にまで響くその声。
「ちょーっと、気持ちよくなれるお薬を打ったのよ。でも、気を失ってしまったみたいね。目を覚ますのが楽しみだわ」
マリーは、うふふ、と笑いながらアンディの腕の中にいる彼女の頭を優しく撫でた。