堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「あなたの部下、思ったより使えないのね」
 はあ、とマリーは大きく肩でため息をついた。両手を上に向け、肩をすくめる。

 二対二。こちらに人質がいるとしても、相手は騎士団に所属する男が二人。分は悪い。そしてこちらが身構えるより先に、ジルベルトがマリーへとその手を伸ばした。

「お前だけは絶対に許さない」
 
 ジルベルトの顔には怒りで血管が浮かんできそうなほどの恐ろしい顔をしていた。悪魔のような表情。
 そしてジルベルトは彼女の細い首に両手をかける。
 ジルベルトの力でみるみると首を絞められるマリーは、言葉を発することなく気を失い、そのまま床に落とされる。

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