堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
4.調査されました
第一騎士団団長ジルベルト・リガウン。年は三十一になったところ。リガウン侯爵家の長男。
婚期を逃したと言えば逃したかもしれないし、結婚する気がないと言えば無かったとも言いきれる。片っ端からやってくる縁談について、仕事を理由に断っていたらこんな状態になってしまった。
しかも、結婚はまだか、結婚はしないのかというリガウン侯爵と侯爵夫人からの攻撃に耐えきれず、騎士団の官舎に移り住んでしまったというのは有名な話。さらに社交界が開かれても護衛という任務を引き受けることによって、それを口実に欠席してしまう始末。
より一層、出会いから遠のいているジルベルト。
屋敷にいるなら調査を執事に頼むことができるのに、ここは官舎で執事のトムがいない。こういうときに限って、官舎に住んでいることを後悔した。仕方ないから第一の副団長であり、自分の部下であるサニエラに頼むことにした。
「悪いがこのフランシア子爵家のエレオノーラ嬢について調べて欲しい」
「どうかされましたか? このご令嬢が何か?」
サニエラは調査理由を尋ねたが、「少々気になるだけだ」という答えでジルベルトは誤魔化した。
だからといって、それで誤魔化されるほどサニエラも単純ではない。どんな気になり方かが気になるところだったので、それは調査報告をするタイミングで探りを入れようと思っていた。サニエラの眼鏡がキラリと光る。副団長の方が、二枚くらい上手である。むしろジルベルトは根が真面目くさっているため、やや応用力が欠けている。
婚期を逃したと言えば逃したかもしれないし、結婚する気がないと言えば無かったとも言いきれる。片っ端からやってくる縁談について、仕事を理由に断っていたらこんな状態になってしまった。
しかも、結婚はまだか、結婚はしないのかというリガウン侯爵と侯爵夫人からの攻撃に耐えきれず、騎士団の官舎に移り住んでしまったというのは有名な話。さらに社交界が開かれても護衛という任務を引き受けることによって、それを口実に欠席してしまう始末。
より一層、出会いから遠のいているジルベルト。
屋敷にいるなら調査を執事に頼むことができるのに、ここは官舎で執事のトムがいない。こういうときに限って、官舎に住んでいることを後悔した。仕方ないから第一の副団長であり、自分の部下であるサニエラに頼むことにした。
「悪いがこのフランシア子爵家のエレオノーラ嬢について調べて欲しい」
「どうかされましたか? このご令嬢が何か?」
サニエラは調査理由を尋ねたが、「少々気になるだけだ」という答えでジルベルトは誤魔化した。
だからといって、それで誤魔化されるほどサニエラも単純ではない。どんな気になり方かが気になるところだったので、それは調査報告をするタイミングで探りを入れようと思っていた。サニエラの眼鏡がキラリと光る。副団長の方が、二枚くらい上手である。むしろジルベルトは根が真面目くさっているため、やや応用力が欠けている。