堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
 ということで。
 二人が結婚したのも、あの後、つまりエレオノーラと十回目に会ったとき、そのままジルベルトが彼女をフランシア家の屋敷に送り、結婚についての話をフランシア子爵と夫人へ伝えたところ、何も問題ないという快諾をもらった。むしろ子爵夫人なんかは、小躍りしそうなくらい、喜んでいた。

 そして、彼女と十一回目に会ったときには、リガウン侯爵とその夫人に、つまりジルベルトの両親に結婚の相談をし、どうせ式を挙げるための休みの調整なんかすぐにはできないのだから、さっさと結婚の申請をしてしまえ、と言われ、そのまま教会に結婚申請書を提出する流れになってしまった。
 このとき、エレオノーラが本当のエレオノーラでジルベルトの両親と会ったとき、彼の母親は「まあ」と言いながら「やはり、あなたにはあなたの良いところがあるわね」とジルベルトと同じようなことを言っていた。さすがジルベルトの母である。

「そういうわけでして、この後、団長は第零騎士団から呼び出しがかかっております。団長も大変な相手とご結婚されましたね」

 サニエラの眼鏡は今日もキラリと光っていた。
 ジルベルトの相手が、あの第零騎士団の三兄弟の妹であることを、既にサニエラも知っている。だが、さすがにエレオノーラが第零騎士団に所属していることまでは知らない。

「そういうことは早く言え」

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