堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます

「そう、なんですね？」

「それに明日も仕事だ。その、そんなことになってしまったら、明日の朝は寝台から出たくなくなる」

「やはり、グリフィン公爵の件が？」

　さらっとジルベルトが胸の内を告白したにも関わらず、話題はやはりあのグリフィン公爵の件へとうつる。

「ああ。陛下の従兄弟ということもあり、寛大な処分を望む声と、今までの悪事の数々から厳罰な処分を望む声とで二分割しているのも問題だ」

「公爵家のほうはどうなるのですか？」
　彼の胸に抱かれているエレオノーラは、しっかりとジルベルトの顔を見つめる。だが、話題がそれであるため、甘い空気感になるわけもなく。