堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「それも問題にあがっているのだが。誰か適当な人を見繕うか、その領地を国の方で預かるかという話が出ていて、これも話しがまとまらん」

「でも、その辺の話って騎士団の仕事ではないですよね。大臣たちに頑張ってもらわないと」

「まあな。だが、実際の悪人の取り調べなどは騎士団が受け持つからな。それが、なかなか終わらん。一度報告をあげても、追加であれも確認しろ、これも確認しろと。だったら、最初から言え、と言いたくなる」
 そこでエレオノーラが笑みをこぼした。
「ジル様でもそんなことをおっしゃるのですね」

 ジルベルトはエレオノーラを抱き上げると、自分の膝の上に横向きに座らせた。

「話をするにはこの方がいいだろう」
 とわけのわからない理由を言うジルベルト。ジルベルトの顔がエレオノーラの顔の横にある。話しをするたびに、頬に息がかかって、少しくすぐったい。

「エレンは、ここに来てからどのようなことをして過ごしているのだ?」
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