堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
 ジルベルトは気になっていた。彼女が自分の妻としてここにきてから約一月。彼女は自分がいない間、自分たちの両親とうまくやっているのだろうか、と。

「そうですね。最近は第零に呼ばれることが少ないので、朝起きたら、二時間程度稽古しています」

「二時間?」
 ジルベルトも思わず聞き返してしまった。

「あの、ジル様。お忘れかもしれませんが、私も騎士ですので。自宅待機のときは自宅で稽古しているのですよ」

「まあ、それはそうだが」
 忘れていた、というのが彼の本音。どこからどう見ても、可憐で儚げなご令嬢にしか見えない、というのに、毎朝二時間も稽古している女性騎士とはどこからどう見ても、そうは見えない。というのはジルベルトの勝手な感想、むしろ妄想。

「その後は?」
 朝から二時間稽古後が気になって仕方ないジルベルト。

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