堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「久しぶりだな、元気にしていたか」
 その奥の部屋にダニエルがやってきて、妹であり部下でもあるエレオノーラに声をかけた。

「はい、おかげさまで」

「お前の腕前も鈍っていないようで安心したぞ」
 ダニエルは首をしゃくって、ソファ席に移動しろと言っている。

「そうですか?」
 エレオノーラは自分の仕事用の席から立ち上がった。

「今のその姿は誰もエレオノーラ・リガウンとは思わないだろう。どこからどう見てもレオンだ」
 立ち上がった彼女の全身を確認したダニエルはそう言った。

「そう言ってもらえて安心しました。私もこちらの格好は久しぶりですから。部長、お茶でも煎れましょうか」

< 274 / 528 >

この作品をシェア

pagetop