堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます

「ああ、頼む。お前とは久しぶりにいろいろ話をしたいと思っていたところだ」

「それは、エレオノーラとして聞けば良い話ですか？」

　ダニエルは頷き、笑いながらソファにゆったりと座った。
　エレオノーラはお茶を淹れるとダニエルの前に置き、自分はその向かい側に座った。

「まずは。先日の結婚式、とても良かった。本当におめでとう」
　そこは真面目な顔で言うダニエル。

「ありがとうございます」
　エレオノーラが礼を言うと、なぜかダニエルが口元に手を当て、その表情を崩し始める。そして、静かに笑い出した。
　エレオノーラは不思議そうに首を右に倒した。

「いや、すまん。あれ、リガウン団長が、いきなり休みを取っただろ？」
　それにコクコクと二回頷くエレオノーラ。急に屋敷に戻ってきた日だ。