堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「リガウン団長が、な、とうとう暴れてだな。それを見かねた総帥が休みを認めた」

「そうだったんですか?」
 エレオノーラにとっては初耳だった。だが、義母がそれらしいことを揶揄していたようにも思う。それが事実だった、ということか。

 ああ、と頷くダニエルは笑っている。もう遠慮なく笑っている。

「グリフィン公爵の件で、第零も第一も、何日も帰れない日が続いていてだ、な。それで、とうとうリガウン団長が、もう辞めてやる、とか騒ぎ出した」
 またそこで口元を押さえた。過去を振り返っている。
「サニエラ副団長がしきりになだめていたが、あのリガウン団長がそれで納得するわけがないだろう? あまりにもの暴れっぷりに、ショーン団長も駆け付けてだな。その隙に俺が総帥を呼んできた」
 ダニエルはぷっと吹き出した。
「まあ、総帥も気にはしていたんだろうな。近々、三日続けて休みを取ってもいい、と言ったら、リガウン団長はショーン団長を振りきって、明日また来ると言って帰った」
 そこでとうとうダニエルは大笑いした。
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