堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
 コンコンコンとドアをノックし、兄の返事を聞いてからドアを開けた。

「ご飯を食べに行きませんか?」
 エレオノーラがドミニクに声をかけた。

「ああ、そうだな。お腹空いたしな。ってお前、誰だよ」
 読書家のドミニクは、案の定、本を読んでいた。しかもバーデール語で書かれた本。だが、突如と現れた妹の姿を見て、思わずそうつっこみをいれるしかなかった。

「うふふ。魅惑の美女になってみました」

 エレオノーラは一つにまとめていた髪をおろしていた。その髪はふわふわとゆるやかなウェーブを保っていたため、それをゆるくハーフアップにしてある。女史イメージのきっちりとしたブラウスの足首まで隠れるスカートも脱ぎ捨て、身体の上半身のラインを強調し、下はふわっとしたスカートのドレス。

「エレン。残念ながらそれは僕の好みじゃないな」

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