堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
エレオノーラは抱いている子供を母親に返した。母親は大変恐縮していたが、「可愛らしいお子さんですね」とバーデールの言葉で声をかけると、その母親は笑顔で応えてくれた。
どうやら母親という者は、自分が褒められるよりも子供が褒められた方が嬉しいらしい。
いつかそんな気持ちが自分にもわかる日がくるのだろうか、と後ろにいるジルベルトに視線を向けたかったが、それはこらえた。
自分は今、ジルベルトの妻ではなく、ただの通訳のセレナなのだから。
案の定、帰りの馬車ではドミニクが深いため息と共に言葉を吐き出した。
「まったく、子供を抱き上げた時は冷や冷やしたよ」
「ごめんなさい」
一応、エレオノーラはそう思っていた。
「まあ。陛下からの指示だっていうからよかったけど。ああいう勝手なことをされると、護衛している側も対応に困るから、控えて欲しいね」
幸か不幸か、この馬車にはエレオノーラとドミニクの二人きりだった。
「そういえば。ジルさんの顔を見たかい?」
どうやら母親という者は、自分が褒められるよりも子供が褒められた方が嬉しいらしい。
いつかそんな気持ちが自分にもわかる日がくるのだろうか、と後ろにいるジルベルトに視線を向けたかったが、それはこらえた。
自分は今、ジルベルトの妻ではなく、ただの通訳のセレナなのだから。
案の定、帰りの馬車ではドミニクが深いため息と共に言葉を吐き出した。
「まったく、子供を抱き上げた時は冷や冷やしたよ」
「ごめんなさい」
一応、エレオノーラはそう思っていた。
「まあ。陛下からの指示だっていうからよかったけど。ああいう勝手なことをされると、護衛している側も対応に困るから、控えて欲しいね」
幸か不幸か、この馬車にはエレオノーラとドミニクの二人きりだった。
「そういえば。ジルさんの顔を見たかい?」