堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「ところで、エレン。これは何のパーティか知っているか?」
 ジルベルトが疑問に思ったことを口にする。パーティに参加するようにと言われたのだが、何のために、どのようなパーティにというところまでは聞いていない。

「さあ? よくわかっておりません。ですが、うまく参加できたから、よかったのではないでしょうか」
 首を傾げながらエレオノーラは答えた。

「そうだな」

 周囲には正装して、きらきらとした男女がたくさんいて、それなりに歓談に耽っている。

 昨日、ドミニクから王都の外れの屋敷でパーティがあると聞き。なぜか招待状もあるよと言われ。さらに、二人ともその日のその時間は空いているよ、と言われ。
 なし崩し的に参加する羽目になってしまった。つまり、厳密にいえば潜入調査だった。
そのドミニクの軽い提案を聞いていたジャックが「僕がセレナさんと参加したかったのに」と小さくぼやいていたのも記憶に新しい。残念ながら、ジャックはクラレンスの護衛についている。
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