堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
 ここで本当にジャックがエレオノーラと一緒にパーティに行かれても困ると思っていたドミニクは、とりあえずエレオノーラとジルベルトがパーティへ行くように差し向けるため、軽い言動や提案で誤魔化した。全ては「偶々の産物」であるように。

 それでなんとか、ジルベルトとエレオノーラを第一のメンバーに気付かれないように、こちらのパーティに参加させることに成功した。これはある意味ドミニクの演技が功を奏したのかもしれない。ちょっと軽めの提案とやる気の無さ、という演技。いや、演技は半分。残りの半分は本気。ドミニク本人がこのパーティに参加しなくてもいいように、という本気。

 広報部やめて、諜報部にくればいいのに、とエレオノーラは思い始めているのだが、当の本人は、それは絶対に嫌だと言っている。変装の才能もあるのにもったいない。
 むしろ、広報部で仕事をしているドミニクの言動なんて、普段のドミニクからは想像ができない。諜報部の潜入班並みの演技力だ。
 それを指摘したら「仕事だからね」とドミニクからは軽く言われた。

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