堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます

16.説明してください

 マリアは廊下で見知らぬ男性に抱きしめられていた。そんな彼女に声をかけるのは気が引けた。マリアが無事であることを確かめられればいいのだ。
 そのマリアに視線を向けていたエレオノーラだが、いきなりドミニクとジルベルトに方腕ずつ掴まれて、空いている部屋へと連れ込まれてしまった。これ、相手が兄や夫でなかったら立派な犯罪である、とエレオノーラは思った。

「じゃ、説明してもらおうか」

 入口を男二人に塞がれてしまったエレオノーラ。しかもその男二人が腕組みをしているものだから、エレオノーラは縮こまるしかない。なんとも表現し難い威圧感がある。

 仕方なく、エレオノーラはゆっくりと口を開く。

「ええと、ですね。今回の対象のホワイト子爵がですね、ドムお兄さまに似ているという情報を得ましてですね。とりあえずドムお兄さまと行動するように、というのがショーン団長からの命令でした」

「はあ? なんでだよ」
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