堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
 そんな妹の姿を見て、はぁ、とドミニクは肩を落とした。
「なんか、いいように使われたな、今回は」

「まあ、私は毎度のことながら、いいように使われておりますが」
 いいように使われ度でいったら、もちろんエレオノーラの方が上だ。

「エレンはそれが仕事だろう」

 それを言われてしまえば元も子もない。

「ところでドミニク殿は、どこからこのパーティの情報を?」
 ジルベルトがこのままでは兄妹喧嘩になるかもしれないと思ったのか、口を挟んだ。まあ、こんなことで喧嘩をするようなフランシア兄妹でもないのだが。

 ここでジルベルトのいう「このパーティ」とは、クラレンスが参加していた王宮のパーティではなく、この屋敷で開かれていたこっちのパーティのことである。

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