堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
 そしてこっちのパーティの参加者は、王宮でパーティが開かれていることを知っており、そちらの警備に人が駆り出されているから、街中の警備も薄れるだろうと思っていたようだ。
 このパーティの他の参加者の中にも、少し羽目を外した者もいるとかいないとか。

「こっちの騎士団からの情報ですよ。招待状を準備してくれたのも、こっちですから。まあ、多分、というか絶対。あっちの騎士団とこっちの騎士団は繋がっているんでしょうけどね。僕たちの知らないところで、情報の交換はされていたんでしょうね」
 腕を組んだまま、ドミニクはまた、はぁと息を吐いた。

「まあ、私も少しはこっちの情報を聞いてはいたな。実際に、ショーンに相談してエレンに潜入調査を頼みたいとお願いはしていたからな」
 自分で責任を負うかのようにジルベルトが答える。

「ジル様。私が潜入したのは、ここだけではありませんよ? むしろ、今日、このパーティに潜入するように言われたことの方が初耳でしたから」

「なんだって」
 と、エレオノーラの告白に、男二人が声を揃えて言った。

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