堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます

　三人はドラギラに戻ると今回の件の報告のために、第零騎士団の団長室へと向かう必要があった。だが、なぜかそこには二人しかいない。

「ただいま戻りました」
　第零騎士団所属であるエレオノーラはもちろん報告のためにここにいる。

「ああ、お疲れさん。まあ、そこに座れ」

　いつものソファに座るように促された。そのエレオノーラの隣に座るのはジルベルト。つまり、第零騎士団所属のドミニクの姿がここにはないのだ。

　ドミニクは、「僕は通訳として行っただけだから、例の事件の報告はまかせた」と言って、さっさと帰ってしまったのだ。
　
「今回は隣国の調査、ご苦労だった」

「はい。こちらが報告書になります」
　実は、エレオノーラは今回の事件の報告書もきちんとまとめていた。ジルベルトはいつの間に、という表情で彼女を見つめる。