堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「ジル様。私だって報告書くらい作れますよ。一応、騎士ですし。その辺の教育も受けていますし」
 エレオノーラの兄もそうだが、どうやら他の男性からは、エレオノーラは少し残念な女の子に見えるらしい。何が残念なのかはそう思っている男性陣に聞かなければわからないところであるが。

「いや、そういう意味で見たのではない。あれしかなかった時間でよく書き上げたな、と思っただけだ」
 そう評してくれるのはジルベルトだけだろう。

「私だって、やればできるんですけど」

「夫婦漫才はその辺にしとけ」
 ショーンがあきれて口を挟んだ。
「それで、このホワイト子爵がグリフィン公爵とつながっていた、っていうわけだな」
 話の流れの軌道修正をかけた。

「そうですね。同じ薬物が見つかりましたから」

「まったく、また頭が痛くなるような案件だな。頼んだぞ、ジル」
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