堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「いや、でもきっと。ジル様がお許しになるとは思えません」

「大丈夫だ。リガウン団長は、エレンの制服姿が見たいらしい」
 うわ。エレオノーラの心の中に浮かんだ言葉は……。本人の名誉のためにも記さないでおこう。
「ツインテールがご希望らしい」
 どんどんエレオノーラの中のジルベルトのイメージが壊れていく。制服姿でツインテールって、十八になったエレオノーラには少々厳しいものがある。精神的に。見た目は十五だけれど、精神は十八だ。しかも人妻だ。

「やっぱり、潜入しなければなりませんか?」
 学院の制服を着たうえのツインテール姿で。

「任務だ」

「任務」
 エレオノーラも任務と言う言葉に弱い。恐らくそれをダニエルも知っているのだろう。だから、あえて任務という言葉を口にする。

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