堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「ドン引きと言えば。前回、バーデールに行ったときにもドムお兄さまに同じことを言われたような気がします」

「ああ。ドムも言っていたなぁ。バーデールの騎士たちでさえドン引きだったって。第零に必要なのは、力ではなく頭脳だ。そこを覚えておけよ」

 そうだったのか。第零騎士団は特殊だと思っていたが、それは他の騎士団よりも頭脳が優先されるから、なのだろうか。いや、そんな話を今まで聞いたことはない。

「ですが、力も無いよりはあったほうがいいですよね」

「無いよりはあったほうがいい。だが、エレン。お前の場合はありすぎだ。本来ならばここでこれでは嫁の貰い手がいないと嘆くところではあるが、リガウン団長がお前の相手で本当に良かったよ」

 なんだか微妙にけなされて、微妙に褒められた気分である。

「とにかくだ。お前が暴走しないように、フレディをつける」

「え、今度はフレッドお兄さまですか?」
 前々回はダニエル、前回はドミニク。そして今回はフレディ。まんまと三人の兄に監視されているような気がしないでもない。
< 386 / 528 >

この作品をシェア

pagetop