堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます

　それに暴走ってどういう意味だろう。前々回も前回も、任務の範囲内でしか暴れていないはず。

「なんだ？　不満か？　フレディは、学院の方から情報処理技術の教師として来て欲しいと言われている。すでに教師としてたまに学院の方へ行っている」

「え、フレッドお兄さまは教師なのですか？　私が生徒なのに？」

「仕方ないだろう。情報部のフレディは優秀だからな」

「うーん、その言い方では私は優秀ではないように聞こえるのですが」

「何を言っている」
　そこでダニエルは足を組みかえた。
「エレンも優秀だぞ。その変装においてはな。だから、学院への潜入を生徒として頼んでいるんだ。それに」

「それに？」

「エレン。結局お前は学院に通うことなく卒業してしまっただろう？　それも俺たちのせいであることはわかっている。だから、少しは学院生活というものを体験させてやりたい、という俺たちからのささやかなプレゼントでもある」