堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます

　気持ちは嬉しいけれど、プレゼントとしてはどうなのだろう。あまり嬉しくないプレゼントだ。

「それで、私は学院の方に潜入して、何をすればよろしいのでしょうか？」

「お、やる気になったのか？」
　ダニエルの顔が少し明るくなった。妹がプレゼントを気に入ってくれたのか、という思いもある。

「やる気とかそういう問題ではなくて。任務ですよね？」

「そうだ、任務だ。騎士団の人手不足の件は聞いているな」

「はい。ドムお兄さまもそんなことをおっしゃっていました。そのせいで、ダンお兄さまがウェンディと結婚できないって」

　ウォッホンと威厳を保つためか、ダニエルは咳払いをした。そして腕を組む。
「その話はおいといて、だな。エレンに頼みたいのは、その学院の中から将来の騎士として有望な生徒を探し出すことだ」