堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます

2.無理があります

「エレン。あなたに、こんな荷物が届いているのだけれど」

 リガウン家の屋敷で、義母が手にしているのは学院の制服だ。
 何の荷物かしらと不審に思った義母が、使用人と一緒にぱぱっと開封してしまったらしい。だから見事に義母の両手で制服を広げられている。そして、この制服に心当たりはあるのか、ということをエレオノーラに確認をしているのだ。こんな荷物が届いたけれど、と。
 何もこっちに届けなくてもいいのにとエレオノーラは思っていた。兄たちからの嫌がらせとしか思えない。普通にフランシア家にいったときとか、騎士団の方にいったときとかに渡してくれればいいのに。

「実は、お義母様……」
 学院に通う羽目になってしまったことを、エレオノーラは端的に義母に説明した。
 任務ではあるけれどその辺のことは濁して。

「まあ、そうなのね。あなたもまだ若いのだから、勉学に励むもいいかもしれないわね。学院だったらここから通えますしね」
 さすがジルベルトの母親だけあって器が大きい。それにエレオノーラの仕事についてもよく理解をしてくれている。
< 391 / 528 >

この作品をシェア

pagetop